センター紹介

犯罪被害者等早期援助団体の指定

公益法人認定・早期援助団体指定の経過

犯罪被害者等早期援助団体の指定

平成13年4月、「犯罪被害者等給付金支給法の一部を改正する法律」が改正され、「犯罪被害者等給付金の支給等に関する法律」に改められました。これにより犯罪被害者等給付金制度の給付金の増額及び支給対象の範囲が拡大されるとともに、被害者等に対する支援規定が整備されました。「犯罪被害者等早期援助団体」とは、同法第23条第2項に基づき、犯罪被害等の早期軽減に資するため

  1. 被害者等に対する援助の必要性に関する広報活動及び啓発活動を行うこと。
  2. 犯罪被害等に関する相談に応ずること。
  3. 犯罪被害者等給付金の支給を受けようとする者が、第10条第1項の規定に基づき行う裁定の申請を補助すること。
  4. 物品の供与又は貸与、役務の提供その他の方法により被害者等を援助すること。

の4項目の事業を適正かつ確実に行うことができる非営利の法人を、都道府県公安委 員会が指定する制度です。 当センターは、平成21年9月11日に、福井県公安委員会から指定を受けました。 これにより、当センターの求めに応じて、県警察本部長又は警察署長は、被害者等の 同意を得て、被害者等の氏名、住居、犯罪の概要等に関する情報を提供することがで きるようになりました。
調査によると、被害を受けた直後の被害者等は、混乱し、感情等も麻痺しているため、自ら希望して支援を求めることは難しい状況にありました。 また、支援してくれる民間団体が、はたして信用できる団体なのか、プライバシーを守ってくれるのか、などを判断できないため、支援を求めることを躊躇してしまう傾向もありました。 しかし、この制度により、「犯罪被害者等早期援助団体」の被害者支援についての法的根拠が明示されたため、当センターの犯罪被害相談員等が被害を受けた早い段階から被害者等に接し、回復に必要な各種支援を行うことができるようになりました。

公益法人認定・早期援助団体指定の経過

はじめに

今日、様々な犯罪が後を絶たず、私たち誰もが被害者やその家族となる可能性が高まっている。被害者及びその家族は、直接的な被害だけでなく、被害後の周囲の好奇の目、誤解に基づく中傷などによって生活の平穏が害され、今後に不安を抱えている。 これらの精神的被害に悩みながらその窮状を誰にも相談できず、生きる希望すら失い、一人放置されているのが現状である。 当団体は、被害者を精神面で支え、できるだけ普通の生活ができるよう様々な支援を行う民間の団体である。 当福井被害者支援センターは、平成13年11月に任意の団体として立ち上げ、平成14年2月にNPO法人に認証された。その後、平成20年12月には一般社団法人を設立、さらに、平成21年4月には公益社団法人の認定を受けた。

1. 公益認定申請を決めた経緯

NPO法人、公益社団法人はどちらも非営利活動法人には変わりはないが、公益法人にしなければならない理由として、以下の事情があった。
当センターが、より公益性・社会的信頼性を高めるには、平成20年12月1日に施行された新公益法人制度の下でのより厳しい審査基準に適合する公益認定が必要であった。公益認定されることにより、各方面からの犯罪被害者に対する支援の輪が拡がり、民間の立場で犯罪被害者を支援する福井被害者支援センターに対する理解と支援が期待できる。
特に、県内の全市町から財政的援助を得るためには、当センターが行う事業について公益性が認められることが大前提と考えらた。
このように地方自治体からの財政支援は、公益認定の一要件とされる財政基盤の強化と表裏一体の関係にあり、必須条件ともな。加えて、こうした公益の援助の輪の拡大も期待できましたことから、公益法人への認定を目指すこととなった。
NPO法人から公益社団法人を目指すために、新たに設立した一般社団法人にNPO法人の事業の全部を譲渡した上で、NPO法人を解散するといった方針で取り組んだ。

  1. NPO法人の定款変更
    NPO法人の事業の全部を譲渡する際、残余財産の譲渡に関する定款の規定を「財団法人H基金」となっていたものを「総会で議決したところ」と変更し、残余財産の譲渡が一般法人にスムーズに行われるよう取り組んだ。
  2. 公益法人認定を見据えた定款の策定
    一般社団法人の設立に伴う定款を策定するに当たり、 ①公益社団法人の認定
    ②公安委員会の早期援助団体指定
    を踏まえたものとする方針で、内閣府のモデル案を基本とし、検討を行った結果、現在の定款に至った。
  3. 各種規程の策定
    公益法人となり、社会的信頼を得るため、次の14の規程を整備した。
    ①事業規程②組織に及び業務分掌に関する規程③犯罪被害相談員等の遵守事項に関する規程④情報管理規程⑤養成講座当に関する規程⑥旅費及び謝金規程⑦就業規程⑧会計処理規程⑨事務処理規程⑩役員等の選任手続き等に関する規程⑪公印管理規程⑫入会手続きに関する規程⑬会費規程⑭表彰規程
  4. 財政的基盤の整備 公益法人として継続的に事業を実施するためには、財政的基盤を整備する必要があるため、県警に対する委託事業の要望、福井県内各市町に対する法令外負担金拠出の要望等を行い、公的資金の獲得に努めた。また、公安委員会の早期援助団体の指定を目指すことを条件に支出される「日本財団」の助成金の獲得にも努力した。
  5. 人的基盤の整備 事務局に関しては、相談事業等各種支援事業の継続的実施及び内容の充実を図るため、平成20年度より専任の相談員2名の常勤化(週6回10時から16時)及び事務職員の採用を行い、事務局長(副理事長)以下4名の常勤職員体制の整備を図った。
  6. 相談室等施設の拡充整備 公益社団法人として活動するため事務所等を平成20年4月に福井市の中心部に移転し、鉄筋コンクリート4階建ビル3階部分147㎡を借上げることで、それぞれに独立した3部屋(電話相談室・面接相談室・事務室)を整備することができた。また、電話相談室と多目的室の分隔工事を実施し、相談内容の秘密が守られ、安心して相談業務ができる環境が整った。
2. 公益法人に至る機関決定の経過

公益法人認定に至るまでの当センターの機関決定の経緯等を以下に紹介する。

  1. 平成20年11月3日
    ●一般社団法人設立準備会(NPO法人理事会と同メンバー)で定款の審議
    ●NPO法人臨時総会 〈残余財産の譲渡に関する定款変更の審議〉
  2. 平成20年12月7日
    ●一般社団法人設立準備会
    〈定款と役員について協議
  3. 平成20年12月7日
    ●一般社団法人設立総会
    〈定款と役員を決定〉
  4. 平成21年12月16日
    ●公証人より一般社団法人の定款認証を受ける
  5. 平成20年12月25日
    ●法務局に一般社団法人登記
  6. 平成21年3月1日
    ●NPO法人理事会
    〈NPO法人解散の意思決定と解散に伴う残余財産の帰属先について協議〉
  7. 平成21年3月1日
    ●NPO法人臨時総会
    〈公益認定を条件としたNPO法人解散の意思決定〉
  8. 平成21年3月1日
    ●一般社団法人臨時総会
    〈平成21年度事業計画、予算の承認、定款の変更承認〉
  9. 平成21年3月23日
    ●福井県公益認定等委員会開催(福井県)
  10. 平成21年3月29日
    ●NPO法人臨時総会
    〈平成21年3月31日をもって、NPO法人解散の最終決議〉
    ・解散に伴う残余財産の帰属先は、「公益社団法人福井被害者支援センター」に譲渡する。
    〈NPO法人解散に伴う清算人の選定〉
    ●一般社団法人臨時総会
    〈定款の変更承認〉
  11. 平成21年4月1日
    ●福井県知事から当センターが公益社団法人として認定される。
3. 事業の分類及び見直し
  1. 事業の分類 公益法人認定法における公益目的事業は同法の別表3に規定する、「障害者もしくは生活困窮者または事故、災害もしくは犯罪による被害者の支援を目的とする事業」となっている。
    そこで、当センターの事業を公1から公4に分類し、いずれも被害者が再び平穏な生活を営むことができるよう支援する事業であり、不特定多数の者の利益増進に寄与する事業であることを明文化した。

    公1 犯罪被害者等からの電話相談、面接相談等に対応する事業
    公2 犯罪被害者等の要望により裁判の付添い、家事の手伝い等を支援する事業
    公3 犯罪被害者等に対する支援員を養成育成する事業
    公4 犯罪被害者等の現状や支援の必要性を広く県民に知らせる事業
  2. 事業の見直し 当面、被害者支援を実施する相談員、支援員の養成研修事業を集中的に約3年間実施する予定であるが、将来的には、「日本財団」の助成に大きく頼っている関係もあり、この事業を見直す必要がある。 集中的な養成研修の後は、継続的なレベルアップのための研修を実施することとしたい。
4. 犯罪被害者等早期援助団体に指定

平成21年9月11日福井県公安委員会から犯罪被害者等支援早期援助団体の指定を受けた。 今後は、被害者の同意を得ることができれば、警察からの被害者情報の提供を受けることができ、被害後の早い段階から被害者個々に合った効果的な支援活動が可能となり、当センターが行う事業の公益性が一層高まることとなる。
しかし、見方を変えれば、当センターとして重責を担う訳で、事業運営に当たる我々にとって、公益法人の名に恥じないよう活動を一層活発化させていく必要があると考えているところである。
こうした中、福井県内では、地域の関係機関・団体等との緊密な連携によって被害者等のニーズに対応した支援活動を効果的に推進していくため、警察署単位での「犯罪被害者支援地域ネットワーク」づくりが進められるなど、当センターにとっても心強い動きもある。
今後、県、警察、各自治体、関係団体等と連携を深めながら、我々に寄せられる期待に応えるために、公益法人としての責任を果たし、被害を受けた方々が、生きる希望を持って、元の平穏な生活を取り戻すことができるよう努めたいと考えている。

賛助会員・寄付等のお願い

ご意見箱